社会人からでも保育士になれます
「手に職をつけたい」
「社会人として働いているのだけれど、やっぱり子どもと関わる職業に就きたい」
私は高校卒業後は社会人を2年経験したのち、保育士として保育園に勤務した経験があります。
高校卒業後はテーマパークで週5日8時間のアルバイトをしていましたが、「なにか手に職を付けたい」と考えたときに保育士として働くことを目指し、短大の社会人入試を経て保育士資格を取得しました。
保育士資格の取得を考えるにあたって、以下のような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
どのような人が保育士に向いているのか?
ピアノが弾けなくても保育士にはなれるのか?
この記事ではこのような疑問を解決しつつ、資格取得のための大きな2つのルートを紹介します。
それぞれのルートでどのような違いがあるのかを知り、今後の進路を考える手立てにしてくださいね。
保育士に向いている人は?
・コミュニケーション能力がある
・子どもが好き
・なにかひとつ特技がある
まず、人が好きな人は保育士に向いているでしょう。
保育士は子どもが好きだということが大前提の職業です。
しかし、実際は子どもだけではなく、保護者や周りの保育士とのコミュニケーションをとることも重要です。
自分の周りにいる一人ひとりに興味を持てる人、コミュニケーションを取ろうと思える人は保育士に向いています。
そして、1つでも特技(ピアノ・工作など)がある人も保育士に向いています。
特にピアノが得意な人は、日々の保育時間や園で行われる行事などで活躍する場面が増えるでしょう。
子どもが歌を歌ったり、音楽に合わせて体を動かすことも好きな子が多いです。
子どもと一緒に楽しく過ごせる時間が増えることに加え、保育園で行われる発表会や卒園式の行事の場面でも活かされます。
静かで大人しい人も保育士に向いている
実は、静かで大人しい人も保育士という職業は向いています。
なぜなら保育園にはいろんな子どもがいるからです。
元気いっぱい、かけっこ大好き!
元気な声で歌を歌うのも大好き!
上記のような子どもばかりではないからです。
走るのがにがて
大きな声でおはなしするのはイヤだなあ…
静かな大人だからこそ、「この先生のそばにいると安心できるな」と思ってくれる子もいるのです。
ピアノが弾けなくても保育士資格は取得できる?
ピアノが弾けなければ保育士として働くのは難しいのではないか? そう考える人もいるかもしれません。
ピアノは弾けた方がいい
しかし、保育士養成施設の場合は、学校を卒業と同時に保育士資格が取得できます。
在学中は試験課題(ピアノ弾き語り)に合格し、単位取得することが目標になるでしょう。
保育園に勤めることになり、勤務先の保育園でピアノを絶対に弾けないといけない、ということもありません。
ただし、実務として保育中や季節のイベントで子どもたちと歌うこともあります。
そのためピアノは弾けた方がいいに越したことはありません。
ピアノを練習する際、音の大きさが気になったり、自宅にピアノの練習をしたりする環境がない人は、防音室やピアノ練習のできる設備が整った学校に通うことをおすすめします。
保育士になるには
さて、保育士資格を取得してみようと決めたらどのように資格を取るか考えましょう。
保育士として働くには保育士資格が必須
日雇いでのアルバイトでも資格証の提出を求められます。
保育士資格は、1度取得すれば更新手続きも不要で一生使える資格です。
保育士になるには2つのルートがあります。
①指定保育士養成施設を卒業して保育士資格を取得する
②保育士試験を受験し、合格することで保育士資格を取得する
上記のいずれかをクリアすることで保育士の登録・保育士証の交付となり、保育士として働けます。
保育士になるための自分に合った資格取得のルートを選ぶといいでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
①指定保育士養施設を卒業して保育士資格を取得する
指定保育士養成施設には大学、短期大学、専門学校があります。
昼間の学部以外に夜間学部や通信教育のカリキュラムがある学校もあるので、自分の勉強したいことや使える時間、費用などを考えたうえでどこに入学するかを決めるといいでしょう。
これらの学校いずれかを卒業することで保育士試験は免除され、保育士資格を取得できます。
選択肢①大学に通う
4年制大学、または短期大学に通います。
必要な単位を修得すれば卒業とともに保育士資格を取得可能です。
4年制大学を卒業した場合
保育士資格+幼稚園教諭一種免許状+学士が取得できます。
短期大学を卒業した場合
保育士資格+幼稚園教諭二種免許状+短期大学士が取得できます。
選択肢②専門学校に通う
短期大学と同じ2年での通学ですが、専門学校と短大との違いは、専門学校のほうが即戦力になるための専門知識を集中して学べるカリキュラムが組まれていることです。
また、学力に自信がない人の進路としてもおすすめ。
その理由は専門学校の入試では学力よりも学ぶ意欲を重視されることが多いからです。
入試のハードルが比較的低いことはメリットのひとつといえるでしょう。
専門学校を卒業した場合
保育士+幼稚園教諭二種免許状が取得可能です。
選択肢③専門学校の夜間学部に通う
学費に差はなく、2年で集中して学ぶか、比較的ゆっくりしたペースで学ぶかの違いがあります。
中には昼間は学校の提携先の保育園で働き、夜に通学するスタイルの学校も。
保育園や幼稚園の就職活動では、就職先の関係者に顔が知られていることが有利に働きます。
最大のメリットは収入を得ながら勉強ができることです。
専門学校の夜間学部を卒業した場合
保育士資格が取得可能です。
スクーリングのメリット
・学業だけに専念できる
・同じ志をもつ人たちと一緒に授業を受けられる
・保育園での保育実習と幼稚園での幼稚園実習がある
保育園実習では、保育園で実際に保育士として働く経験をします。
スクーリングのデメリット
・学費がかかる
大学で約400万、短大では約250万、専門学校もかかることを想定しましょう。
・仕事と保育実習を掛け持ちするのは困難
保育実習は8時間×14日かけて行います。
そのほか、子どもと接する以外の業務もするので日誌に書くのに一苦労、そして寝不足…なんて日も。
毎日の日誌や翌日の保育で使用する教材の準備などで追われます。
子どもたちが安全に過ごすため、自分も気持ちよく実習を終わらせるためにも、この期間は実習に専念することをおすすめします。
幼稚園一種免許状と幼稚園二種免許状の違い
幼稚園教諭一種免許状と幼稚園教諭二種免許状の違いですが、業務内容としては違いはありません。
給与面とキャリアにおいては差があり、短大卒よりも大卒の方が初任給が高いです。
また、幼稚園の園長になりたい場合は、あなたが一種免許を取得している必要があります。
将来のキャリアや昇進のしやすさを考慮した場合は二種免許よりも一種免許のほうが活躍できる役割が増えるといえるでしょう。
②保育士試験を受験し、合格する
保育士試験を受験し、合格すると保育士資格が取得できます。受験資格を満たせばどなたでも受験が可能です。保育士試験は年に2回開催され、筆記試験と実技試験があります。
保育士試験の受験資格
・短期大学卒業程度
・児童福祉施設で実務経験2年以上かつ総勤務時間数2,880時間以上従事した者
などの要件を満たせば受験資格を得られます。
試験内容
筆記試験は全8科目です。8科目全てに合格することで実技試験に進めます。
・筆記試験(全8科目)
保育原理/教育原理および社会的養護/子ども家庭福祉/社会福祉/保育の心理学/子どもの保健/子どもの食と栄養/保育実習理論
・実技試験
保育実習実技における3分野から2分野を選択します。
①音楽に関する技術
幼児に歌って聴かせることを想定し、2曲の課題曲を弾き歌いする。
(ピアノもしくはギターを使用)
②造形に関する技術
保育の一場面を絵画で表現する
(鉛筆またはシャープペン、色鉛筆を使用)
③言語に関する技術
3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、子どもが集中して聴けるようなお話を行う。
3つの課題のうち、指定されたお話を話すこと。
保育士試験のメリット
・低コストで資格取得を目指せる
・実習がないので自分のペースで勉強できる
・何度でも受験できる
保育士試験のデメリット
・受験のチャンスは1年に2回のみ
・試験勉強や実技試験の練習への自己管理能力が問われる
・8科目の全てに合格する必要があるため、勉強時間の確保が必須
(試験科目:保育原理/教育原理および社会的養護/子ども家庭福祉/社会福祉/保育の心理学/子どもの保健/子どもの食と栄養/保育実習理論)
・保育士試験の合格率は20%程度と低め
幼保連携型認定こども園(幼保園)で働きたい場合は幼稚園免許も必須
この記事を読んでいるあなたは、保育士資格を取得し、保育園で働こうとしているのではないでしょうか。
もし、気になる園が幼保園であった場合は幼稚園教諭免許状も必須です。
幼稚園教諭免許状は大学もしくは短大を卒業することで保育士資格と一緒に取得できます。
自分がどのような場所で働きたいのかもイメージしながらどのような方法で資格取得を目指すのか考えるといいでしょう。
資格取得後、どのような勤務先があるのか
保育園だけでも60名、120名と規模もさまざま、園によって特色も違います。
また児童養護施設、乳児院、学童保育など保育士資格を活かせる場所はさまざまです。
ベビーシッターのように保育士資格を必要としない職種でも、有資格者とそうでない人だったら、親御さんは有資格者に預けたほうが安心してくれるのではないでしょうか。
社会人から保育士になるメリット
1.保育士資格は取っておいて損はない
2.年齢に関係なく仕事できる
社会人から保育士になるデメリット
・収入の減少
多くの場合、他業種から保育業界に転職すると給与が下がる可能性があります。
・職場環境の違い
他業種とは異なる人間関係や組織文化に適応する必要があります
知っておくべきこと
同じ保育園というくくりでも働く場所が変わると、仕事のやり方も変わることを知っておきましょう。
同じ「保育園」というくくりでも、日々の連絡帳や月のおたよりを手書きで行う園もあれば、パソコンの保育専用ソフト、またはアプリで、など園によってやりかたは様々です。
まとめ
保育士は大変な仕事です。
しかし、子どもの成長を間近で見ることができる、とてもやりがいのある仕事でもあります。
今は保育士が不足していることもあり、保育科のある学校は様々な通学スタイルを選べるように工夫もしています。
ぜひ、目標に向かって自分だけの道を進んでみては。


